雨漏りはこうして始まる!屋根材ごとの劣化パターンと対策法
かつて瓦屋根が主流だった日本の住宅も、時代の流れと共にスレートやガルバリウム鋼板といった高性能な屋根材が主流になってきています。ですが、どんなに高性能な屋根材でも、劣化が進行すれば本来の性能を失い、防水といった屋根材の役割を果たさなくなります。特に雨漏りは、住宅全体の寿命を縮めるやっかいなトラブルです。この記事では、屋根が雨漏りを起こす構造と理由や、屋根材ごとの劣化パターンと対策法を詳しく解説します。雨漏り発生のメカニズムを知りたい方や、雨漏りを起こさないように対策を知りたい方はぜひ参考にしてください。
屋根が雨漏りを起こす構造と理由
屋根には多くの種類がありますが、屋根の構造には共通している点があります。屋根は外側から、屋根材・防水シート(ルーフィング)・野地板といった順に構成されており、屋根表面である屋根材の種類が変わっても、屋根材下には防水シート、防水シートの下には野地板、といったように屋根の基本構造はいずれも共通しています。屋根に落ちた雨水は、屋根材の表面を伝って高い位置から低い位置へ滑り落ちますが、万が一、屋根材の下へ雨水が入り込む事があっても、ルーフィングと呼ばれる防水シートの表面を雨水が流れるため、野地板へ雨水が染み込むことはありません。もし、防水シートが何らかの理由で破れたり穴が空いたりした場合には、野地板に雨水が染み込み、屋根裏や室内天井に雨シミや雨漏りとなって現れます。屋根からの雨漏りを防ぐためには、屋根材や防水シートを劣化させずに正常な状態に保ち続けることが重要です。
粘土瓦屋根の劣化パターンと対策法
古くから日本家屋に採用されてきた粘土瓦は、釉薬によって表面が守られており、耐久性・断熱性・防音性が極めて高い高性能な屋根材です。50年以上の耐用年数があるとされているため、粘土瓦そのものの劣化はほとんどありません。漆喰の劣化など気を付けたいポイントや対策法は次の通りです。
✅漆喰の劣化
✅棟瓦のずれ
✅瓦のずれや割れ・欠け
漆喰の劣化
屋根の最も高い位置にある棟瓦ですが、屋根瓦との隙間を埋めるために漆喰が使われています。漆喰の寿命は20年前後と言われており、雨や紫外線で劣化するとボロボロと剥がれ落ち、雨水が侵入する入り口になってしまいます。新築から15~20年ほど経過したら一度点検してもらいましょう。漆喰にひび割れや欠けがあるようであれば詰め直しが必要です。
棟瓦のずれ
棟瓦がずれる理由は、地震による揺れや漆喰の劣化による葺き土の流出があります。棟瓦の内部には「葺き土」と呼ばれる土が入っており、内部の隙間を埋める役割がありますが、漆喰が劣化して剥がれてしまうと内部の葺き土がこぼれ出てしまう場合があります。棟瓦は、屋根面同士のつなぎ目を覆い隠す役割があるため、ずれてしまうと雨水が侵入する原因になります。地震による揺れが強かった場合や、漆喰の劣化がある場合にはずれが起こっている可能性が高く、点検や棟瓦の積み直しが必要です。
瓦のずれや割れ・欠け
地震の揺れや台風、飛来物により瓦がずれたり割れたりすることがあります。瓦がずれただけであれば元の位置に戻せますが、割れや欠けが起こっている場合には交換が必要です。瓦のずれ、割れ・欠けを放置すると下地の防水シートが露出したままになり、劣化が早まります。粘土瓦は、同じ形の瓦があれば一枚単位で差し替えができるため、割れや掛けを起こした瓦を差し替えてもらいましょう。
セメント瓦屋根の劣化パターンと対策法
セメントを原料にしたセメント瓦は、粘土瓦に比べて安価であることから一時期人気のあった屋根材です。耐久性の問題から現在ではほとんど販売されていませんが、次世代セメント瓦として、樹脂繊維を混ぜ込んだ軽量セメント瓦が販売されています。セメント瓦屋根の劣化パターンや対策法は次の通りです。
✅漆喰の劣化
✅棟瓦のずれ
✅塗膜の剥離
✅藻や苔の繁殖
✅瓦のひびや割れ
漆喰の劣化
粘土瓦と同じく、セメント瓦屋根にも棟瓦があり、漆喰が使用されています。15~20年ほどで劣化するため、漆喰の劣化がある場合には詰め替えが必要です。
棟瓦のずれ
粘土瓦と同じ理由で棟瓦のずれが起こる場合があります。棟瓦のずれが起こっている場合には、点検や積み直しが必要です。
塗膜の剥離
セメント瓦の表面は、塗装を施すことにより保護膜を作ることで防水性を確保しています。風雨や紫外線の影響によって劣化し、塗膜が剥がれ落ちてしまうと、防水性能がなくなり、素材のセメントが水分を吸収して劣化が進行します。およそ10~20年ほどで塗膜が剥がれ落ちてしまうため、再塗装が必要になります。
藻や苔の繁殖
塗膜が剥がれて屋根の表面がザラザラしてくると、藻や苔の胞子が屋根に留まるようになり、セメント瓦に残った水分を頼りに繁殖するケースがあります。特に日光の当たりにくい屋根の北面で発生することが多く、藻や苔が屋根に水分をとどめてしまうため、さらに屋根を劣化させる要因になります。
瓦のひびや割れ
セメント瓦が水分を吸って劣化が進行すると、強度が落ちて少しの力でひびや割れが起こるようになります。劣化が進み過ぎてしまい、再塗装をしても強度を戻すことはできないため、屋根材の交換が必要です。
スレート屋根の劣化パターンと対策法
原料のセメントに繊維を混ぜて薄い板状にしたものがスレートです。カラーやデザインが豊富にあり、粘土瓦よりも軽量であることから人気になった屋根材です。スレート屋根の劣化パターンや対策法は次の通りです。
✅色褪せ
✅塗膜の剥離
✅藻や苔の繁殖
✅スレートの反りや浮き
✅スレートのひびや割れ
✅棟板金の浮き
色褪せ
紫外線の影響で着色された色が落ちて褪せてきている状態です。スレートは塗装によって保護膜を形成し、防水性能を発揮していますが、色褪せは、塗装が弱くなってきているサインです。屋根の点検を行ったのち、必要であれば再塗装を行いましょう。
塗膜の剥離
塗膜が剥がれ落ちてしまうと、防水性能が失われてしまうため、スレートが水分を吸って劣化が早まります。放置すると劣化が加速度的に進行するため、新築から10~15年ほど経過している場合は、早めに塗装によるメンテナンスを行いましょう。
藻や苔の繁殖
スレートが劣化し表面がざらつくと、セメント瓦と同じように藻や苔が繁殖するケースがあります。藻や苔はスレートをさらに劣化させるため、取り除いたのち、再塗装または屋根材の交換が必要です。
スレートの反りや浮き
スレートが水分を吸い、乾燥することを繰り返すうちに反って浮き上がりが起こります。反りや浮きが起こると屋根表面に落ちた雨水が、スレート下の防水シートに流れ込みやすくなってしまうため、カバー工法や屋根の葺き替えなどによる屋根材の交換が必要です。
スレートのひびや割れ
劣化が進行すると、雨によりスレートのセメント質が流れ出て強度が極端に落ち、ひびや割れが起こります。この段階では、屋根材が役割を果たさなくなっている状態に近く、防水シートの性能によりなんとか雨水を食い止めている状態です。早急に屋根のリフォームを行いましょう。
棟板金の浮き
スレートの頂上には、棟板金と呼ばれる金属の部材があり、棟瓦のように屋根面同士の合わせ目をカバーしています。棟板金の中には、貫板と呼ばれる木の板が入っており、貫板に釘を打つことで棟板金を固定していますが、熱膨張により徐々に釘が抜けてきます。釘が抜けてくると棟板金も徐々に浮いてしまうため、強風などで捲れたり飛んで行ってしまうケースがあります。10年ほど経過しているようであれば、屋根の点検と共に棟板金の浮きも点検してもらいましょう。
トタン屋根・ガルバリウム鋼板屋根の劣化パターンと対策法
トタンは金属鋼板に亜鉛をめっきしたもの、ガルバリウム鋼板は金属鋼板に亜鉛・アルミニウム・シリコンをめっきしたもので、トタンに比べて高い耐食性を持ちます。トタン屋根・ガルバリウム鋼板屋根の劣化パターンや対策法は次の通りです。
✅色褪せ・チョーキング
✅塗膜の膨れ・白錆の発生
✅赤錆の発生
色褪せ・チョーキング
色褪せは、紫外線による影響で色素が抜けた状態、チョーキングは、手で触れた際に白い粉のようなものが付く現象です。どちらも塗装膜が弱ってきているサインです。塗装によるメンテナンスを検討しても良い頃でしょう。
塗膜の膨れ・白錆の発生
色褪せ・チョーキングから劣化が進むと、塗膜にぽつぽつと膨れが現れます。膨れの内部には白錆があり、時間の経過で塗膜表面に斑点のように現れます。白錆が発生する場合は塗装によるメンテナンスが必要です。錆を落とすケレン作業を行ってから再塗装を行うことによって、内部からの錆の発生を抑えます。
赤錆の発生
白錆が進行すると赤錆が発生します。特にトタンは、腐食が進むスピードが早いため、あっという間に錆が広がり、穴が開いたりボロボロになったりします。赤錆が発生してしまうと完全に錆を落とすことが難しいため、新しい屋根材への交換が推奨されます。この際、トタンは耐食性が低いため、より耐食性の高いガルバリウム鋼板への交換がおすすめです。
まとめ
この記事では、屋根が雨漏りを起こす構造と理由や、屋根材ごとの劣化パターンと対策法を詳しく解説しました。屋根の雨漏りは、屋根材が劣化し防水シートが傷むことで発生するケースがほとんどです。劣化パターンは屋根材や素材によって異なりますが、早期発見・早期対策が大切です。特に塗膜の劣化は、屋根材を劣化させるきっかけになる場合が多いため、定期的な点検や早めの再塗装が効果的です。
茨城雨漏り修理マイスターは、雨漏り修理や屋根・外壁塗装、防水工事などを手掛けています。茨城全域に対応可能ですので、雨漏りにお困りの方はもちろん、住宅に関する塗装や防水の相談をしたい方もお気軽にお問い合わせください。